第2回

美しい省エネ住宅で暮らしたい

「省エネ住宅」といったら、皆さんはどんな家を想像するでしょうか。
屋根には太陽光パネルがついていて、蓄電池もあって、雨水を利用して生活ができてその家だけでエネルギーを循環し、たとえ災害が起きても、自立して生きぬいていける家、そんな住宅でしょうか。

ZEB(Zero Energy Building)という言葉も最近は日常性を帯びてきました。
私も、このNPO蒸暑地域住まいの研究会に所属するようになって、日々、省エネ・低炭素・環境問題のことばかり考えてしまいます。
どこかで省エネという文字をみると、つい目を追ってしまうし、本があるとつい手に取ってしまいます。
でも、その度に私はどこかため息を漏らし、どこを目指していけばいいのか、何ができるのであろうかと、考えれば考えるほどわからなくなります。

東日本大震災・津波で、激流に多くの家屋がのみこまれていくあの映像は、2年経った現在も私の頭から離れなくて、身震いがします。
のみこまれた住宅のほとんどが、1階建てもしくは2階建ての木造でした。津波が起こったとき、私たちは、2011(平成23)年度の林野庁からの地域材供給倍増事業「水平連帯等木材産業活性化のための支援」において、沖縄における地域型住宅づくり支援検討業務を行っているときでした。
内容を要約すると、日本には立派な森林が多くあり、その木材を有効利用するためにどのような手段があるかという課題の下、沖縄で木造住宅を推進してみてはどうだろうか、そのためには、どうすればいいのか、どのような問題があるか等を検討していました。
今後、木造を推進し続けて果たしていいものなのか、疑問すら抱きました。

戦前は、沖縄にも美しい木造の街並みが残っていました。戦火の被害、台風の襲撃により現在はほとんど残っていません。
幅射熱も少ない、炭素を固定化できるため、沖縄でも低炭素型社会を目指していく上で、快適であり、有効な構造だと思います。
でも、またあの津波が来たら、大地震が来たら、台風が来たら、はたまたハリケーンが来たら、とまで考えていくと、作り方を見直していく必要があります。

ここで、あらためて建築の原点に戻ったときに、大切なのは「敷地を読む」という事でした。
建築士になって建てたいものは、たくさんあり、いろんなイメージがあります。
その中でも、群を抜いて一番、どうしても死ぬ前に建てたいものは、「自分が住む家」です。
今のところ、どんな家に住みたいのか、答えは「美しい省エネ住宅」です。

太陽光パネルを置いただけで、省エネだといっていることに疑問を覚えます。
そういうイメージができあがっているのもわからなくはありません。
でも、太陽光パネルを置くことは、少なくとも省エネではなくて、創エネです。電気をたくさん使いたいから太陽光パネルを置く、そんな方もいらっしゃいます。
それは決してエネルギーは、省いていないのです。エネルギーを創ることは、より豊かになるものだとは思います。
でも、創っているからいっぱい使える、というような流れになると、省エネからどんどん離れていくことになります。
設備は大切だけど、設備に頼らないと生きていけなくなるような人間生活でいいのであろうか、設備に頼らず、伝統的な知恵と最先端技術に頼る方がよっぽどの省エネなのではないでしょうか。

ところで、小さいことはとてもエコだとおもいます。
小さなリビングだと、エアコンで冷やすにも小さなエネルギーで済みます。
逆にいうと、大きな家や広いリビングは、それだけたくさんのエネルギーを使うということです。
でも、広いリビングは多くの人の憧れでもあります。
広くてエコな居心地のよいリビングはどうすれば可能でしょうか。

そこで私が考えたのは、ほとんど何もしなくていい広いリビングです。
ここで何もしなくていいというのは、掃除もそこまでしなくていい、空調もしなくていい、だからメンテナンスもしなくてもいい、究極に言うとうこと、そのリビングにいてもいいしいなくてもいい、ということです。

半屋外空間にもなり完全に室内にもなる構造で、開口部を開けていても大きなゴミは入ってこないようになっているようなイメージです。
台風が来たときは完全にシェルター化でき、暑くて風がほしいときは、思うように風を取り入れて涼をとることができます。
寒くて閉めたいときは、太陽光と熱だけを取り入れるようなしくみをつくってみるとそこまで難しいことではないように思えます。
「開けたいときに開ける。閉めたいときに閉める」それができる住宅こそが、沖縄において大切な省エネ住宅のポイントだと思います。

(2013年5月1日掲載)