第3回

世界の省エネ住宅から学ぶこと

梅雨がおわり本格的な夏がはじまり、沖縄に省エネの季節がやってきます。
美しい省エネ住宅に暮らしたいと、前回の論壇で述べましたが、実際世界にはどんな省エネ住宅があるでしょうか。

昨年「ソーラー・デカスロン・ヨーロッパ2012」がスペインで行われました。
世界各国の学生チームが環境配慮型の住宅を建てて、性能を競い合う国際大会です。
日本のチームは、千葉大学から参加し、積水ハウスなど60以上の企業や団体の協力を得て、日本の家づくりを世界に提案しようと挑みました。
ところが、結果は出場した18チーム中15位と惨敗でした。日本の最先端が世界で評価されなかったと、雑誌には掲載されていました。
惨敗した原因に「ガラパゴス化」と「伝統家屋にすぎない」がとの理由が取り上げられていいました。
「ガラパゴス化」とは、孤立した環境で最適化が進行した結果、エリア外との互換性を失い孤立化するといったような意味のビジネス用語です。たとえば、世界標準とは異なる進化をした日本の携帯電話のことをガラパゴス携帯(略してガラケー)というような使われ方をしています。

さて、今回の住宅でのガラパゴス化とは、設置した太陽光パネルで発電した電気を直流から交流に変換するパワーコンディショナーのことでした。
欧州でも使える認証を受けた日本製が存在しなかったため、仕方なくイタリア製を使用しましたが結果が思うように現れませんでした。
また、すべての日本製家電の電圧は100Vで現地の電圧220Vとの間に変圧器も必要とのことで損失もあったようです。
今のところは仕方ないとしか言えないのかもしれません。
でもこれからは日本の携帯もスマートフォンに変わっていくように世界標準を意識した環境設備の進化が望まれていくと感じました。

さて「伝統家屋にすぎない」との評価はどうでしょうか。
日本人はまじめで、伝統を守り、知恵を生かしていく。素晴らしいことだと思います。でも世界はそれだけでは評価しないということかもしれません。
私は日本各地の省エネ住宅をホームページで手当たり次第調べてみました。確かに意匠的に革新的なものは探した中には見当たりませんでした。
それに比べて、この大会での世界各国の提案はなんとも斬新なものばかりでした。
優勝したフランスの住宅は、太陽光パネルで緑色のドッドをシルクスクリーン印刷して、木立の下から空を見上げたような木洩れ日空間を演出していました。
吊るされたハンモック形状の椅子にすわっているだけで、都会とは思えないような優雅なひとときを想像できる素晴らしい提案でした。

イタリアの住宅では、壁に大きな魚を描いています。
遊び心を感じますが、実はこれは粗砂と蓄熱塗料で描いたもので、昼間に光を蓄えて、周囲が暗くなると光り出し、照明の役割も担うという機能が備わっています。
このようなローテクの素材に加えて、推定年間発電量は、推定年間消費電力量の1.8倍の9330kWhにもなるハイテクの設備も積極的に導入していました。

さて、去年の夏に常夏の楽園ハワイに訪れそこでスマートハウスの見学をしました。
ハワイのスマートハウスでは、太陽光パネルと太陽熱温水器パネルを設置することが法律で義務付けされているようです。
インフラとともに整備された住宅街には、屋根にほぼ同じ大きさの太陽光パネルと太陽熱温水器のパネルが設置されていました。
太陽光パネルは、日本の住宅に設置されている面積の約1/2または1/3程度の大きさでした。住宅局の方に説明していただいた資料では、いわゆる高気密高断熱化されており、電力モニターも「見える化」による意識向上の効果をもたらすような内容でした。

ハワイの太陽熱温水器の設置に関しては特に興味深く感じました
沖縄はポストカードでは青い空と青い海が定番ですが、実際は晴れの日よりも曇りの日が多く実際太陽光発電は、本州の方が日照時間は多く、発電量も本州の方が上回る事もあります。
しかし、太陽熱温水器は曇りの日でも、暖かければ熱取得が可能なので、一年中温暖な沖縄では圧倒的に効率がいいです。また、機器や設置料金も太陽光パネルに比べ安価です。
お風呂よりもシャワーを多用する沖縄では給湯にコストがかかります。そのコストが削減できるとしたら、大きな省エネ効果がもたらせるものだと思います。

世界中で地球を守ろうという動きがある中、ここ沖縄ではどんな美しい機能美のある省エネ住宅が作っていけるか今後とても楽しみです。

(2013年6月26日掲載)